歯医者さんで「磨き残しがありますね」って言われたことはありますか?
それに対して、咄嗟に「あ…来る前に軽くしか磨かなかったので…」って言っていませんか?
よくあるやりとりです。
わたしも歯医者で働いていて、このシーンには何十回も遭遇しています。
実は、歯医者さんは、歯に付いた汚れが今日付いたものなのか、もっと前から付いていたものなのか、見ればだいたいわかります。
だから誤魔化そうとしても、バレます。
歯医者さんはどうやってその辺を判断しているのでしょうか。
そもそも、なんで歯医者さんはそこまで歯みがきのことをうるさくいうのか?
わたしが今まで歯医者で見てきた経験の中からまとめていきます。
1 . 歯医者さんはここをみて判断している!
歯みがきは誰でも毎日していると思います。
毎日しているのに、昨日やその前から汚れが付いているなんてことあるの?って思うかもしれませんが。
あります。
自分ではキレイに磨いているつもりでも、磨き方にクセがあれば、同じところを磨き残してしまったり、短い時間で済ませている場合は汚れが取り切れていなかったり。
そうして磨き残してしまった汚れは、日が経つにつれて色が白から黄色やオレンジっぽく変わっていきます。
それと、数日経った汚れは分厚くて少しネバネバしています。
ということで、歯医者さんは、汚れが付いたところを器具でこすってどんな状態か、あと色で判断しているわけです。
(すべての歯医者さんがそうというわけではありません)
専門家なので、やはり誤魔化してもバレてしまいますね笑
2 . どうして歯医者さんはそんなに歯みがきにうるさいの?
歯医者に行ったら必ずやることになる「歯みがきの指導」。
どうして歯医者さんはそんなに歯みがきにうるさいのでしょうか。
それは、ムシ歯や歯周病の治療をして良くなったとしても、その人自身がする歯みがきが改善されていなければ「焼け石に水」状態だからです。
定期的に歯医者さんで歯石を取ってもらっているから、歯周病に100%ならないわけじゃない。
ムシ歯も1回治したら大丈夫かといったらそうじゃない。
自身でする歯みがきをずっと同じようにやっていたら、必ずまたトラブルが起きてきます。
そうならないように、しっかり汚れが落とせる磨き方を身につけて、さらに定期的にプロにチェックしてもらうということが必要です。
予防の仕方を知らなければ、一生歯医者さんにお世話になり続けることになります。
「そんな知識、今更身につけようなんて遅いんじゃ…」って思うかもしれませんが、タイミングに遅いということはまったくありません!
むしろ、行動しなければ、悪くなる可能性が高まるだけです。
歯医者さんに行く機会があるなら、磨き残しを指摘されても「今日は軽く磨いただけなので…」と誤魔化すのではなく、改めて磨き方の指導を受けてみてください。
ところで、なぜ磨き残しがあるとトラブルが起きるのでしょうか?
3 . みんなが「ただの食べカス」だと思っているアレは「細菌の塊」!
見た目は、ただの白いネバネバですが、その正体は「細菌の集合体」。
食べカス1mgの中に数億という数の細菌が棲みついています。
最初は数が少なくても、食べカスの中の糖分をエサにして増えていきます。歯の表面に強力にくっつくためにネバネバ物質をつくることもできます。
だから、お菓子や甘い飲み物に対しても歯医者さんはうるさいんですね。
歯医者さんで使われている用語でいうと、食べカスや磨き残しは「歯垢(しこう)」といいます。
テレビのCMでは「プラーク」って呼ばれたりしています。
歯のトラブルのほとんどは、この歯垢をご自身が歯ブラシを使ってどれくらい落とせるかにかかっています。
手をつけていない健全な歯は、なるべくそのまま使えるところまで使いたい。大事にしなければいけません。
なぜなら、もし神経を取ることになってしまうと歯本来の「粘り」が失われてしまうからです。
歯医者さんではよく「樹の枝」に例えるんですけど、普通なら枝を折ろうとしたら、しなったりしてなかなか折れないですよね。
でも枯れ木だと、簡単に折れてしまう。栄養が行き渡っていないので、粘りが失われているということです。
同じことが歯にもいえて。神経を取った歯は、見た目は変わらなくても、神経を取ったことで栄養が行き渡ることはないので、うっかり硬いものを噛んだりした時に折れてしまうことがあります。
自分の歯なんだけど、ちょっと事情が違うので気をつけながら食べないといけなくなるのはちょっと不便です。
1度大きく治療した歯は「一生使いたい!」と思っても、なかなかそうならないことが多いと、わたしは色んな患者さんをみていて強く感じます。
とにかく「細菌の塊」をしっかり落とすことが何より大事です。
4 . 歯垢と歯石の違いは「歯みがきで取れるか、取れないか」
先ほど、歯垢について簡単に説明しましたが。
似た名前で「歯石(しせき)」というのがあります。
「歯垢」と「歯石」の違いは、簡単に説明すると、歯みがきした時に取れるのが「歯垢」、取れないのが「歯石」です。
歯石は、石のように硬くて、歯医者さんで取るしかありません。市販でそれ用に器具が売ってたりしますが、自分で取ろうとするのはおすすめできません。
簡単に取れないし、素人では完全に取り切れないからです。あと、歯石は見えるところだけに付くわけではありません。
ちなみに、歯垢は一度付くとその上に汚れが更に付きやすくなります。
歯石は、歯垢が唾液の中のミネラルと結合して硬くなったものです。
下の前歯の裏に歯石が付きやすいなぁ、と思ったことはありませんか?
それは、舌の下に唾液がたくさん出てくるところがあるからです。
歯石は48時間でできるといわれています。
たった2日です。驚きですよね。
歯石には、歯ぐきから上に見えている歯の表面に付く場合と、歯ぐきの中に埋まっている歯の根っこに付く場合とがあります。
なぜ、歯の根っこに付くかというのを簡単に説明すると、歯周病になると、歯を支えている骨が溶けてしまい、空間ができてそこに汚れが入り込みます。
当然、歯ブラシは届かないので歯医者さんで取るしかないわけですが。
歯周病は重度にならないと痛みを起こしてこないので、歯ぐきの中に歯石が付いているかどうかは、普段痛くない時に定期検診で歯周病の検査をしてチェックしてもらう必要があります。
歯周病の話を掘り下げると長くなってしまうので、今回はここまでにしておいて。
歯石にならない・歯みがきで落とせるうちに汚れを除去することができれば、そもそもムシ歯にも歯周病にもならない。物理的にはそういうことになっています。
5 . 「一生歯医者に治療通い」から開放されるには、歯医者さんで【予防の仕方】を教えてもらう!
まずは歯医者さんでOKが出るまで歯みがき指導を受けることをオススメします。
大事なのは、自分が磨けてないところを把握すること。プロに客観的にみてもらって、改善していく。それが1番効率がいいと思います。
その中で、磨く時間なども指導があるはずです。
自分が使いやすい歯ブラシを選んだり、良い歯みがき粉を使ったり、うがい薬を使うのは、磨き方を自分の中に落とし込んでからで十分です。
ただし、使う歯ブラシは古いものは交換しましょう。交換のペースは1ヶ月がオススメです。あまり古いものだとキレイに磨けないからです。
6 . 唾液が出にくいと感じる人へ
唾液には、口の中をキレイにする作用があります。
小学校の時に理科で、酸性・中性・アルカリ性って習いましたよね。
口の中も、酸性になったり、中性になったりするんです。
酸性になるのは、食べたあと。酸はご存知のとおり、歯を溶かします。それをゆっくり中性に戻すのが唾液です。
では、唾液の量が少ない人はどうすればいいのかというと、お水を使うのがいいと思います。
わたしは唾液が少ないというわけではないのですが、食べたあとやコーヒーを飲んだあとなどは必ず水を口に含むようにしています。
酸性を中和するのと口の中を軽くキレイにするためです。
小さい子供など、すぐに歯みがきができない時に1回お茶などを飲ませることで酸性の時間が長引くのを防げるといわれています。
唾液が出やすくするマッサージもありますので、興味がある人は歯医者さんで聞いてみてください!
7 . まとめ
記事タイトルの話は最初の導入部分だけで、あとは結局歯みがきの話になっちゃいました笑
歯医者さんがなんであんなに歯みがきのことをうるさくいうのか。なんとなく伝わればうれしいです。
あと「今日は軽くしか磨いてないので…」はバレますのでご注意ください笑
以上!海野もちでした