こんにちは、歯科助手の海野もちです。
今日は少し長くなりますが、知っておいて損はないと思いますのでお付き合いいただければ嬉しいです!
みなさんは歯の表面にくっ付いている磨き残しの正体が何なのかをご存知ですか?
# 「歯垢」って聞いたことありますか?
「しこう」と読みます。白っぽい汚れです。
歯の表面にくっ付いているものです。
難しいことは省略しますが、毎日ごはんを食べると、歯の表面に食べカスがくっ付きます。
食べカスに含まれる糖分が口の中にもともといた細菌たちの餌になり、数が増えます。
そして歯垢になります。
つまり、歯垢はただの食べカスではなく「細菌のかたまり」なのです。
歯垢は酸を出して、時間をかけて歯を溶かしていきます。
それが虫歯です。
細菌のかたまりが歯にくっ付いている時間が長い程、虫歯や歯周病になります。
わたしは仕事中に顕微鏡を使って、色んな人の口の中の細菌を見る機会がありますが、大抵いっぱい細菌がいます。
誰でもいます。
うじゃうじゃいます。
見てみたい人はYouTubeで見れますのでどうぞ。
口腔内細菌と検索してください。
(※閲覧注意です)
話を戻しまして。
タイトルの答えは、
「細菌のかたまりが歯に付いている時間を短くするために歯を磨く!」ということだったんですね。
知らず知らずのうちに私たちは毎日細菌と戦っていたわけです。
ここまでで、毎日歯を磨かなければいけない理由がわかっていただけましたか?
# 細菌と戦うために
敵のことがわかったところで、今一度敵と戦うための武器についておさらいしましょう。
❶歯ブラシについて
入手場所はスーパーやドラッグストア。
あとは歯医者さんです。
同じメーカーでも市販のものと歯医者さんのものは少し違います。
価格は市販のものが安いです。
歯医者さんのものはほんの少し高いけど、その分ナイロンの毛にしっかりとしたコシがあるのですごくオススメです。
>歯ブラシを交換するペースは1ヶ月がいい
歯ブラシの毛は、ほとんどがナイロン素材(たまに動物のもありますが)。
新品は毛先を触ると「コシ」があります。
キレイに磨くにはこのコシが大事なんです。
毎日使うとコシがなくなっていくため、同じように磨いても新品の時と1ヶ月後では汚れの落ち方が変わってきてしまいます。
一昔前は「歯ブラシの毛が開いてきたら交換しましょう!」と指導していましたが、よほど力強く磨かない限り、1ヶ月くらいじゃ毛は開きません。
メーカーの技術がアップしたからかな?
そのため、見た目に大きな変化がなくても1ヶ月程度で交換することをオススメしています。
「何回使ったら」という視点でいくと、
人それぞれ磨く強さが違うので強く磨く人の30回と軽い力でみがく人の30回では、ブラシの傷み方が変わるので、回数よりは期間を交換の目安にするのが◎です。
1ヶ月ってあっという間なので勿体ないと思うかもしれません。しかし、細菌のかたまりを3ヶ月使った歯ブラシで落とそうとするのは例え歯医者さんでも無理なことです。
わたしが使っている歯ブラシで、新品と1ヶ月使ったものを比較してみます。
ちなみに、この歯ブラシは歯医者で買ったもので、1本160円です。
全然高くないんですよ。
- 左が新品
- 右が1ヶ月使ったもの
写真が下手なのは置いといて笑
右の1ヶ月使ったものは毛先の長さがガタガタのバラバラになってますよね。
特に力が入る頭側は毛が減りやすいようです。
新品ではシュッとしていた毛先の先端も、使っていくと全体的に減って短くなっています。
比較が微妙すぎたかな…
>「硬さ」について
箱の裏やパッケージに必ず表示があります。
- かため(ハード)
- ふつう(ミディアム)
- やわらかめ(ソフト)
硬さは「ふつう」を選んでください!
ふつうを使って歯ぐきが痛い人は強く磨きすぎかもしれません。
やわらかめの歯ブラシに替えてもいいですが、かなりやわらかいので汚れの除去率が落ちます。
>「毛先の形」について
いろいろな毛先のタイプがあります。
- 平らな形
- 毛先が細くなっている形
- 山切りカットなど
誰でも磨きやすいと言われているのは、平らな形。
毛先が細くなっているものは、歯周病予防に向いている。
でも勘違いしてはいけないのは、
歯周病で深くなってしまった歯周ポケット(歯と歯の境目にある溝)の中をキレイにしようと思っても限界があるということです。
さすがに深くまでは届きません。
毛先が細くなっている歯ブラシが有効なのは、歯周病になっていない状態でその予防をするという意味で使う場合です。
\歯周ポケットの図/
歯周病があると言われたら、それはまず歯医者さんで治療しないといけません。
「山切りカット」は山型の毛が歯に当たった時に形がぴったり合うのが売りです。
でも、歯は大きさが様々なので山型が全部の歯にぴったり合うとは限りません。
一見使いやすいそうに見えますが、きちんと磨けるかどうか考えたらわたしはあまりオススメしません。。
>磨く時の力の強さ
詳しい磨き方については追々書きたいと思いますが、歯をキレイに磨くコツは「毛先が寝てしまわないくらいの力の強さ」で磨くことです。
毛先を使って、シャカシャカと動かして効率よく汚れを落とします。
情報サイトによっては「毛先が細くなっている歯ブラシは毛先が寝てしまうのでよくないよ」ってすすめていない場合もたまにありますね。
たしかに毛先が寝てしまうくらいの力で磨くと、それはダメなんです。
適切な力で磨けば毛先が寝てしまうことなく汚れは落とせます。
なので、わたしはそれほど悪いと思いません。
何より、長年毛先が細い歯ブラシを愛用しているわたしは虫歯にも歯周病にもなっていません。
歯医者で働いているので、あまり大きい声では言えないのですが、実はわたし歯磨きは朝の1回しかやらないことが多いです。(悪い例!)
そのかわりに必ず最低10分は磨いています。
1日3回磨いていても、1回で20%くらいしか磨けていなければ、例え1日何回磨いても虫歯や歯周病になってしまいます。
回数が少なくても、1回で80%近く磨けていればいいと思います。
わたしのことはあくまで例えであって、みなさんは朝と夜寝る前に歯磨きすることをオススメします!
❷歯と歯の間のそうじ
歯ブラシ以外で何か他のアイテムは使っていますか?
歯と歯の間に隙間がある場合は、歯ブラシだけでは汚れが取りきれない場合があります。
そこでぜひ使っていただきたいのが、
- 歯間ブラシ
- フロス
- 糸ようじ
歯間を掃除するアイテムは、それぞれ隙間の大きさによってどれを使うかが決まります。
①歯間ブラシ
歯と歯の間の隙間が大きい場合に使います。
隙間の大きさに合ったサイズを使う必要があるので、
隙間がまだそこまで大きくないなら細いサイズを、隙間が大きいなら太いサイズを使います。
②フロス
隙間が狭い場合に使います。
③糸ようじ
フロスと同様です。
❸うがい薬について
うがい薬は、あればいいし、なくてもいいです。
勘違いしてはいけないのが「何をどれくらい殺菌できるか」です。
あのスースーした液体でうがいをすれば、歯についた食べカスが全部洗い流せると思っていませんか?
市販のうがい薬は「だ液の中の細菌」や「食べカスの表面にいる細菌」に対して効果があります。
でも食べカスって、厚く盛り上がった状態でついていませんか?
実は、厚みのある汚れの中にいる細菌は全部殺菌できているわけではありません。
水流で食べカスが歯からはがれるということはあると思います。
でも、はがれなかった汚れを「分解する作用」まであるのか?
うがい薬に求める効果って、食べカスが取れて、取れなかった汚れは殺菌されて、口の中に菌がいない状態になることですよね?
味がかなり濃い&清涼感で、うがいをしたあとすっきりした感じはすると思います。
うがい薬を使っているのに口臭が治らないっていう人は、一度うがい薬に頼らずに歯みがきの時間を長くしてみるといいかもしれません。
ミドリや紫の液体でうがいをしたら、歯磨きをした時と同じくらい汚れが落ちるなんてことにはなりませんのでご注意ください。
# さあ、これで戦い方がわかりました!
何ヶ月も同じ歯ブラシを使っている人は、今すぐ新しい歯ブラシに替えることから始めてください。
いま使っている歯ブラシを見直して、虫歯や歯周病にならないように取り組みましょう。
かなり長くなってしまいましたが、最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!
お役に立てば嬉しいです!
# おまけ
厚みがある食べカスに対して高い効果があるうがい薬はないのか。
市販されていませんが、あります。
それは「タンパク分解型除菌水」というものです。
歯医者で販売されていて、わたしが働いている歯医者で実際の治療にも使っているものです。
水と塩を電気分解して作るもので、人体に対しても安全です。
厚い汚れも分解しながら殺菌するので、口腔ケアにおいてとても効果があります。
口臭の除去にも有効です。
最近、Panasonicから『ジアイーノ』という製品が出ましたよね。
空気を殺菌するっていう。
あれは「次亜塩素酸」という殺菌成分を利用しています。
「タンパク分解型除菌水」も「次亜塩素酸」でできています。
木下優樹菜がインスタグラムで夫のフジモンさんが娘さんから「口が臭い」と言われて落ち込んでいる、という投稿が結構でてきます。
それを見てわたしは「このうがい薬を使ったらいいのに」といつも思ってます。
どうにかしてフジモンさんに届けられないかな。
「タンパク分解型除菌水」の詳細について、気になる方はググってみてください。
口臭ケアだけでなく、ノロウィルスの除菌や皮膚の消毒にも使えるので、様々な場面で安心して利用できる優れものです